2012年9月24日月曜日

オーディオ・サイエンス・ラボラトリー と        意識の拡大に関して

(ヤン富田コンサート・リキッドルーム 2012.9.22 に於ける発言から、文字起こししたものを校正)

え〜と、此処にあるんですけど、これ「意識ほぐし機」と命名したもので。これはもともと医療の現場で放射線治療の際に被爆線量を計るための機器だったものを改良した光線銃なんですね。LED の点滅信号と音が連動してまして、私はこれを被験者に照射させる事によって意識をほぐしていこうとアレンジして使用しています。

オーディオ・サイエンス・ラボラトリーは1989年に「音楽による意識の拡大」をテーマに開設して、今年で23年目になります。意識の拡大というのは、1960年代に化学薬剤のLSD-25 というのがあって、1937年にスイスのサンドス製薬の科学者アルバート・ホフマン博士によって開発されたものなんです。60年代にはそのLSD を処用して意識の拡大を計ろうという一大運動になって、それはサイケデリックという運動だったんですけど、当初は意識が拡大して凄い人になっちゃうわけだから、いわゆるブルジョワから政治家等、トップのほうからその薬を試していったんです。大学教授や芸術家、果ては陸軍の部隊にまで。例えば100人の画家を集めて、LSD を所用している時としてない時に絵をかかせて、どちらが素晴らしい絵を描くか? とか、1回の所用で美術学校4年分の効果があったとか、そういった様々な実験が国の機関 (主にCIA/アメリカ中央情報局) の主導によって行われていました。

日本では東京医科歯科大学教授で精神科医の島崎敏樹 (島崎藤村の姪の息子にあたる)によって、1959年に記録映画『LSDの実験』が制作されて、また文化放送の生放送では被験者にLSD を投与してどうゆう状態になるのか?といった放送があったんです。被験者は谷川俊太郎さんで、島崎俊樹は処方を倍量にしたために、なにがなんだかわからないまま生放送中寝てたっていう、アハハ。それでまあそういったようなことがあって、それから世界中で規制が入って、1968年には LSD は全面的に非合法になってました。当初は快楽を追求するための目的でそういったものがあったのではなくて、もっと純粋に人間の可能性を計る、拡大するといったような事だったんです。でも危険な麻薬ということになっていけないものだというふうになっていったんです。私は麻薬を奨励しているわけではなくて、酒もタバコも博打もやらない本当につまらない奴なんですけど、勿論ドラッグもやらなくて、それで、そうしたものを使わなくても音楽で意識の拡大を計ることができるんじゃないかと、そうしたテーマのもとにやってきました。

意識ほぐし機の音をちょっと出してみますね.....
あの〜...このウンワカ、ウンワカ鳴ってる感じが意識をほぐしてるの。すごく簡単なの。(客席から、エ〜?という声)簡単じゃん、あのね、例えば音楽聴く時に馴染みのないものだとか、わけのわからないものだとかに接した時に、その人の音楽体験の中で一番難解だったものの物差しをあてて判断しようとするでしょ。たとえばロックを沢山聴いて来た人には多いんだけど、だいたいフランク・ザッパなんだよね。でもね、その物差し私のに当てても通用しないから、アハハ。自分で言っちゃいけないんだけど、あの本当にそうなんです。で、そうしたことを今日は全く置いて、もうなすがままに意識を置いておくと、何かとっても良いことが起こると思います。ですからそういった前向きな方向でお願いしたいです。だってせっかくお越しいただいたんで、こうしたものをみんなで、ちょっと聴くとふざけた音なんですけど、皆さんと聴いてるこの感じは絶対にカッコ良いから。それはもう本当に信じてもらっていいから、で、悪いようにはしないから。

それではですね、この意識ほぐし機を使って、あとはこの脳みそ解砕機っていって、これは脳みそをほぐすんですけど、この二つを使って『意識ほぐし機による意識の拡張療法』を、私、無免許なんですけど施術をしたいと思います。それではその被験者にHIPHOP最高会議の千葉隆史くん、どうぞ。そして助手に大野由美子、配線助手に DUB MASTER X 。これからセッティングに入ります。こうした音楽はセッティングから音楽が始まっているんですよ。開き直ってるわけじゃなくて。その過程があって...。だってここで行おうとしてる音楽は、音楽産業の中でのヒット曲のベルトコンベアーに乗っけて、ハイ、一丁上がりという風にはやってないので、セッティングも手間もかかるんです。ですからそこは皆さんのフォローも必要ということで、今日はこうした形で演っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。それから緑の点滅信号の余韻を注視していくと、女性の方には発作を起こす人もいたりするので、そこは自己責任ということでお願いします。あと刷り込みが入っちゃうんで、何が何だかわからないまま家に帰って、日常の中でふと閃いちゃうことがあるかも知れません。ですから今の内だと思うんですよね。光線がモニター(ライブ・カメラのモニター)に映って皆さんも体験しちゃいますから。体験した後、体験する前のあの時の自分にもどりたいな〜って思ってもだめだから、アハハ、でも悪いようにはしないからということでだいじょーぶです。
それでは。グゥウィ〜ン.......






「意識の拡大」に関連した著述として、RELAX 誌 2004年2月号 に上梓した「ビート禅ーそのアーカイヴとアラン・ワッツ及びラモン・センダーのサブ・ストーリー」 がある。A.S.L. 所蔵のアーカイヴから音源、本等々の紹介と歴史をたどりながらの集成。














































Alan Watts "This Is It" 
MEA LP-1007  (1962)

ビートニクからヒッピーと時代は変遷し、ワッツは禅による自己の知覚への探究、そしてサイケデリックから東洋の瞑想へと受け継がれた知覚の体験の先導者として
にシーンを体現した。LSD 体験によって制作されたレコードは、1965〜66年にかけて集中的に発表されたが、62年の『This Is It』は、そういったサイケデリック・アルバムの中で世界で最初にリリースされたものだった。




                             (ビート禅アーカイヴより抜粋。)


レコードは、ワッツの息子、マーク・ワッツから
直接入手した思い出深いもの

関連する事項としてこちらも。
http://asl-report.blogspot.jp/2011/12/blog-post.html
http://asl-report.blogspot.jp/2011/04/art-for-all-7.html


こちらはその「ビート禅」所収の拙著『フォーエバー・ヤン』(2006年 アスペクト刊)